2009年越後妻有アートトリエンナーレにおけるアントニー・ゴームニーのアート作品「もうひとつの特異点」展示のために、古民家の改修を行った。
木造の民家の内部の壁や床を撤去し、柱と梁の軸組みだけにすることが求められた。建物は外壁や内部の壁に土壁が用いられており、耐震要素となっているためこれを撤去すると建物の耐震性能は低下する。外壁の内側へ構造用合板による補強を、柱・梁のフレーム内へ鉄骨フレームによる補強を施し、必要な強度を確保した。
既存の状況でも建築基準法で規定された耐震性は1階で70%程度しか確保されていなかったが、今回の改修により100%の強度の確保を実現した。
また、2階床レベルの撤去に際しては、外周部に幅1mの補強床を残し、外周柱の応力条件が変わらないように配慮した。屋根面の段差がある部分には鉄骨フレームによる水平構面の補強を行い、屋根面の一体性を確保した。