自由学園南沢キャンパスには昭和初期に遠藤新により設計された木造校舎群があり、「東京都選定歴史的建造物」に指定されている。 内外の建築意匠を極力変えない改修を行った。
建物は大きな方形の屋根をもつ平屋建ての木造建築であり、全般的に耐力壁は少なく、4隅に2本ずつ対になって配置された組柱と、 柱間に配置された4面のトラス梁による剛接架構を意図した設計であったが、柱梁接合部の耐力が不十分で耐震性能はかなり低い建物であった。 組柱のうち外側の柱を鉄骨柱に置換し、柱をつなぐ鉄骨梁とからなる4本柱の鉄骨ラーメンフレームにより全体の水平力負担を行うこととした。 鉄骨梁は既存の天井内に内蔵することで補強前と空間のイメージは変わっていない。