急勾配の傾斜地を造成した高台の敷地に建つ住宅で、海を臨む方向にテラスを設けて開放的にし、残りの三面はスリットを設けた壁面として構成されている。
外壁面のスリットは、高さ 750(mm)の鉄筋コンクリート壁の直上に 300(mm)の高さで設けられ、スリット上部は木造壁となっている。壁面沿いに配された柱は、脚部の上下 2ヶ所をコの字形鉄板で挟み込んでコンクリート壁にアンカーして固定し、頂部を木造壁によって拘束することで、柱の曲げ抵抗を活かしたラーメン的な構造となっている。柱の曲げ長さが短くなり、柱梁接合部に相当する部分が長く剛性が大きくできるため、柱断面は 120(mm)角に抑えることが可能となった。
基礎はもとの地山を支持層として径 114.3(mm)の鋼管杭を打ち込み、その上に鉄筋コンクリートの梁とスラブを設け、さらに既存の擁壁より前面に片持ちスラブを張り出している。