2階建の診療所であり、屋根に12mmの鉄板を使用した吊構造を用いたもので、形態の生成方法と施工方法を関連させたことも特徴である。
下部構造はRC造の壁を一方向に4~8mピッチで並べ、それによって鉄板屋根を支えている。屋根の施工方法は、鉄板を支保工で支えた状態で溶接して一体化し、支保工を降下させて自重による変形を与え、所定のたわみ位置で下部構造と一体化した。
連続梁であるため、中間の支持点で局部的に鉄板を支えると曲げモーメントが過大となり、薄板の鉄板では設計不可能となる。これを防ぐため、支持点では滑らかな曲率をもって鉄板を湾曲させる必要があり、鉄板に生じる曲げモーメントが許容される強度以下になるように中間支持点での曲率を調整することを考えた。下部のRC壁の上部に所定の曲率を持たせたプレートを取り付けておき、鉄板を変形させた後に鉄板に設けた穴の部分で下部の受け台と溶接して一体化した。
風の吹き上げに対しては、鉄板の自重で抵抗させている。