エキスパンションジョイントで構造的に4棟に分離しているが、 それぞれを適材適所の最適な構造システムで考え、同時に全体として統一感のある 見えがかりとなるように外周部に斜め部材を配した、鳥かごのような構造フレームを選択した。
高層部は鉄骨造地上9階建てで、中央に階段を有することや、隅角部の1階から6階まで、 大きな吹抜けがあることが特徴である。内部の階段回りと外周部に柱を設け、それらを 梁で繋いだラーメンの主体構造を基本とし、外周部には座屈拘束ブレースを用いて地震時の エネルギー吸収を図ることを考えた。外周部は柱、梁、ブレースの架構形状が外装材から透けて見えるため、 柱幅、梁成を300mmとし、見付け寸法を統一した。ブレースの配列は一般的に見られる整合したものではないが、 量的には各階でバランス良く配置された構造的な合理性のルールとファサードデザインとを連動して決定した。 力学的にはブレースの連続により力の流れが明確となっている。
低層部は、鉄骨造平屋建て一部2階建てで、外周にバランス良く斜め柱やブレースを配置した構造とした。 エントランス部分の短手方向はブレースのない構造であるが、柱が斜めとなっているため通常のラーメン架構より 剛性・強度が大きくなっている。