基本設計のみを担当したプロジェクト。
昭和8年竣工の京都市美術館本館の改修ならびに増築であり、耐震性能の確保に加え、収蔵庫、展示スペースの不足などの機能の改善とバリアフリーなど来館者サービスの改善が行われた。既存本館の平面形状は外形が長方形であり、内部にほぼ正方形の二つの中庭があり、その周りを取り囲むようにロの字型に陳列室が配置され、中央に吹き抜けを有する大陳列室が位置していた。本館の内部の改修及び耐震補強と付随する増築、また新館の増築が行われた。機能的にも新たに設けられた地下部のエントランスからロビー機能としての大陳列室への動線がつくられるなど大幅な改修となった
歴史的な建築物であり、見えない部分での補強を施して意匠に影響を与えない手法を用いた。1階の外壁開口部の鉄板補強、RC耐震壁の増設の他、展示室の屋根水平構面の補強を行った。
相築ブは全てEXPジョイントで分離されている。大陳列室の2階回廊、中庭の屋根は鉄骨ラーメン構造で構成した。エントランス・ショップ・カフェの建物前面の増築は、もともと地面であった部分を彫り込んで1層の構造物をつくった。本館の北側及び西側玄関の庇の下部に新しいエントランスがつくられた。既存の庇はそのまま残して下部構造を新設し、新設柱の柱頭にすべり支承を設けて庇を支持した。