十津川村産のスギ材を全面的に利用し、単純な仕口で架構を構成する木造架構の可能性を追求するプロジェクトである。
在来軸組工法を基本構造とし、“菱形”の意匠を生かして斜め材をブレースや方杖として利用し、その効率を最大化するため鋼板挿入ボルト接合を用いた。入手可能な部材断面の大きさと長さを調査し、18㎝幅のメインの架構と12㎝幅のサブの架構を組合わせる計画とした。
柱は180角と120x180、梁は120x240以下、長さ6mを上限としての部材構成による構造計画を立案した。
製材を切り込んで鋼板を挿入すると材の割れを助長することを懸念し、主たるブレース構面では梁、ブレースは90㎜幅の部材を2枚合わせとしてその間に鋼板を設け、その他の部位では梁・ブレースは120㎜幅、ブレースは両側に鋼板を配した。
2階会議室の8.1mスパンの屋根は斜め材を用いた不完全トラスとすることで、小断面の部材で構成した。
十津川産材の木材はJAS材ではないため、強度と含水率の確認を行って使用部材を選別し構造計算にも反映させた。