既存校舎の合間のS字状の敷地に新設された平屋の学校建築であり、RC造と木造のハイブリッド構造を用いた開放的かつ経済的な木造建築をつくることを目指した。主体構造をRC造の強度型の構造とし、屋根に1.4mピッチで集成材を一方向に並べ、その上に厚さ28mmの構造用合板を張り詰めて一体する。ただし、それぞれの棟でRC造の壁や柱の配置が異なっているため、地震力の伝達経路やRC造の力学的な性状がいくぶん異なるものとなる。木造梁は同じように配置されているが、部材や接合部で必要とされる強度が場所により変わり、それらを考慮した接合ディテールの設計が重要であった。木造梁はRC造によって支えられるが、一部のスパンが大きい部分には鉛直荷重の支持のために鉄骨柱を使用し、木造梁としてのスパンは最大8.4mである。屋根のレベルが各所で変わり、緩やかな湾曲屋根となっていることも特徴であり、木造梁を支持するRC造の梁レベルを変化させ、その間に架け渡す木造梁を全て直線部材とすることで経済化を図った。主要な梁はべいまつ対称異等級集成材(E120-F330)を使用し、準耐火建築物であるため、45mmの燃え代を考慮して設計を行い、主な部材断面は150mm×410mm及び150mm×305mmである。母屋材はすぎの製材60mm×105mmを使用し耐火規定を考慮し天井内に隠蔽する。
豊野小中一貫校
Toyono Elementary and Junior high school
建築設計 | 小泉アトリエ+SDA設計 |
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所在地 | 熊本県宇城市 |
用途 | 小学校・中学校 |
規模 | 地上1階 延床面積2,550㎡ |
構造 | RC造、鉄骨造、木造(屋根) |
竣工年月 | 2013年3月 |
掲載雑誌 | 新建築 2013年7月号 建築技術 2013年7月号 |