短辺4.7m、長辺6.7mのコンパクトな平面形の中にさまざまな小空間が組み込まれた建築である。建物内で種々の風景を生み出し、その中をめぐりたいという建築家の想いは、建物の形態を複雑化する。当然ながら上下の空間を秩序良く重ねることにはならず、構造体はずれて配置され、構造となる壁にはさまざまな開口が設けられる。地下はRC壁式構造とし、RC造の自由度を生かした構造とした。階段と地下階を隔てる建物内部の壁は構造的に成立する範囲内で自由な形状を作り上げた。また外周壁は土圧を受けるため厚さ250㎜となり通常ならば1階床スラブまでは同じ厚さの壁とするが、地上に出ている部分は150㎜と薄くすることで木造部の厚みと揃え、断熱材を欠損させることなく建物の外面をそろえた。これにより外部からはRCと木部の境界を計り知ることはできず、地下空間の最大化し、開口による良質な地階を実現した。地上階は在来軸組工法の木造であり、外周部に多くの耐力壁を有する。しかし、床レベル差や吹き抜けがあるため、地震力の伝達に留意し、2階の床段差部は構造用合板で固め一体性を確保し、さらに1階の内部にも高倍率の木造耐力壁を設けて2階床の地震力が少しでも内部で抵抗できるようにした。
坂牛邸
Sakaushi House
| 建築設計 | OFDA（坂牛卓アトリエ） |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区 |
| 用途 | 住宅 |
| 規模 | 地下 1 階 地上 2 階 延床面積 93 ㎡ |
| 構造 | RC造、木造 |
| 竣工年月 | 2019年 |
| 掲載雑誌 | 住宅特集 2019 年 7 月号 |
