建物は本体建物、練習室棟、渡り廊下からなり、それぞれの意匠的な特徴にあわせた構造を採用し、エキスパンションジョイントを設けて別棟とした。
・本体建物
教室の境界部の壁で壁量を確保したRC壁付きラーメン構造の強度型の建物である。天井懐を確保したい教室はボイドスラブとし教室内は梁のない空間とした。長スパンとなるホール屋根・床やエントランス上部にはプレストレストコンクリートを採用した。最上階の学生ラウンジ及びレストランは開放的な空間をつくるため屋根を鉄骨造として軽量化し、鉄骨柱で屋根の鉛直荷重を支持した。最上階の楕円の講義室は、柱壁をRC造とし、屋根を鉄骨造として軽量化した。柱は講義室の段床にあわせて斜めに持ちだした片持ち梁で支持した。
・練習室棟
1フロアー12室のピアノ個人練習室が3層重なった建物である。防音上RC壁で囲まれた部屋となるため壁量の多い空間となることから、本体建物とは剛性のバランスを考慮して別棟とし、柱型のない空間でかつ経済性のよい壁式構造とした。
・渡り廊下
柱がランダムに立つブリッジにしたいという意匠的なイメージから、鉄骨の斜め柱で鉛直荷重及び地震力を負担する構造とした。鉛直荷重による回転が生じないように、また地震時に各方向の剛性バランスがとれるよう斜め柱を配置した。斜め柱は軸力だけを負担するように両端をピン接合とし、柱脚は露出柱脚とした。