永い歴史を有する寺院の展示施設である。建物はRC造であり、景観を考慮した落ち着いた和風のデザインである。敷地内の一部に鎌倉時代の遺構があり、これらの保存のために掘削深さが制限され、建物全体の基礎免震は不可能であった。展示ケースのみを免震するという案も検討されたが、より広範な免震を行うことが望ましいとの考えから、RC造の建築の中に免震で支えられた部屋を構築する「部屋免震」を採用した。鉄骨梁の上部にRC造の床をつくり、その上に鉄骨フレームを組んで壁と床を含めた部屋全体を免震層で支えている。免震装置は摩擦振子支承を採用した。この支承の復元力は支承面の曲率により得られているため、支えている重量に関係なく固有周期が決まり、減衰力は重量に比例した摩擦力により履歴減衰が得られることから、曲率や摩擦係数の設定により性能が決まる。また、加速度を抑え変位を小さくするために粘性ダンパーも用いた。
東大寺総合文化センター
建築設計 | 建築研究所アーキビジョン |
---|---|
所在地 | 奈良県奈良市水門町100 |
用途 | 博物館、図書館、集会場 |
規模 | 地下 1 階 地上 3 階 延床面積 5,891 ㎡ |
構造 | RC造 一部鉄骨造 |
竣工年月 | 2011年9月 |
掲載雑誌 | 新建築 2011年 11月号 |
受賞 | 第55回BCS賞(2014年) |