昭和40年竣工の裁判所の耐震改修である。地方裁判所・家庭裁判所が並列に配置され、長手の両端部付近に渡り廊下が配置されている。
地方裁判所・家庭裁判所・渡り廊下は、構造的には3棟の独立した建物で、いずれも耐震性能が非常に低く、またコンクリートの状況も非常に悪かった。
裁判所機能を保持したままの居ながら改修のため、建物内部で補強可能な箇所はごく一部に限られ、主に外周部で補強を行った。
家裁棟は、建物の機能上短辺方向で補強可能な箇所は妻面以外存在しないため、両端部の渡り廊下を鉄骨ブレース構造で作り直し、家裁棟と一体化して耐震要素とした。また中央付近は中庭駐車場にバットレスを設けた。渡り廊下は敷地内を横断する水路をまたいでいるが、水路は護岸含め全て既存状態保持が絶対条件であったため、設計・施工ともに難易度が高いものとなった。