昭和11年(1936年)に芝浦花柳街の見番として建てられた建物の改修計画である。東京都内に唯一現存する木造の「見番」の建物で、「旧協働会館」と呼ばれていた。建物屋根は瓦葺きで小屋組はトラス構造が用いられ、2階に百畳間と呼ばれる大広間を有している。 港区指定文化財として指定されているため、文化財としての保存と活用が求められた。躯体の補強としては、既存土壁の増し塗り、面格子壁・合板壁・土壁などを新たに配置して水平耐力を増し、一方で地震時の折損の危険性のある柱の補強を行った。2階床面は既存根太部に構造用合板12mmを設置して水平面としての補強を、小屋組はトラスの下弦材のレベルで丸鋼の水平ブレース補強と桁行方向では棟位置で丸鋼の鉛直ブレース補強を行った。敷地が拡張されたことで建物は曳家が行われ、 新たにバリアフリーの目的でRC造の付属棟も建てられた。
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