1971年に竣工した集合住宅の耐震改修である。
眺望および採光を確保する目的で、室内側の住戸小堺壁位置で主要な補強を行った。連層の増設袖壁端部に柱を設けることで耐力の増大を図り補強範囲を最小限とした。また、既存建物が有する耐震要素の偏心を解消する目的で、外周部に最小限の袖壁補強を行った。増設壁の境界梁は炭素繊維補強を施してせん断耐力を増大させ、梁の曲げ降伏を先行させることで架構全体の耐力および靱性を向上させた。
既存杭への影響を考慮して、連層耐震壁の最下層は壁の範囲を広げ転倒モーメントに対する杭の負担を軽減した。
増設部材と既存躯体の接合部は、既存コンクリート躯体に埋め込み支圧でせん断力を伝達させるディスクシアキーを用いて施工性を向上させた。