幅約 60mの谷に架けられた橋を渡り博物館にアプローチするユニークな計画である。
「きききのつり橋」は半径 100mの緩やかな円弧を描き、約 80mの長さを持つ屋根つきの木造吊り橋である。一辺 3.2mのダイヤモンド形の中心部を円形にくり抜いた断面が円弧状に並び、上下左右の隅角部に折れ線状に弦材を設け、各面に X 形のラチス材を設けている。両端は鉄筋コンクリート造の橋脚で支え、中間は橋の脇に建てた支柱からロッドによって吊り下げられる。部材には地元産のカラマツによる集成材を用い、トラス部材の節点にあたる部分はプレート加工の接合金物を用い、集成材をドリフトピンで留めている。
「縄文博物館」は 2 階建ての鉄筋コンクリート造で、建物を取り囲む外壁と屋根を細かいグリッドの柱・梁で構成したことが特徴である。外周部の柱は 250mm× 700mmの細長い断面とし、屋根梁は同サイズの山形梁で、スラブと一体となったシングル T 形のプレキャスト板を用い、上部にスラブを現場打ちしている。