ホールやカフェ,講義室などの多目的空間を有する大学図書館である。既存棟と増築棟の2棟により構成され,互いにエキスパンションジョイントにより切り離されている。
増築棟は,北面に円弧上のファサードを有し,既存棟を取り囲むように構成される3階建ての建物である。 構造は鉄骨造を採用し,耐震要素として座屈拘束ブレースを使用することにより,終局時において本体フレームの塑性化を低減しつつ,塑性変形能力を確保した靭性の高い構造とした。渡り廊下は,既存棟にオーバーハングしており,既存棟直下に杭を新設し,既存棟を貫通した新設の柱によって支持される。渡り廊下と新設柱との接合部にはテフロン板によるすべり支承を設け,渡り廊下の地震力はスラブの面内せん断力を介してすべて増築棟で負担することで,既存棟に外力を発生させない構造とした。18mスパンを有する2層吹き抜けのライブラリーホールは,2階床梁と屋根梁を鋼管ブレースで繋いだトラス構造とした。
既存棟は、S46年棟とS58年棟がエキスパンションジョイントを介して接続している。S46年棟は耐震診断判定指標Isoを満足していなかったため増設壁および偏心をおさえるための鉄骨ブレースをバランスよく配置している。中央には鉄骨階段及びトップライトを配置するために吹抜けを新たに設けている。