芸術文化の創作活動の場を提供する目的で計画され、周囲の自然環境に配慮して建物を森に埋没させる「見えない建築」が意図されている。谷間をまたいで橋を架けるイメージで、直線形の「創作棟」と「宿泊棟」、ギャラリーや円形屋外ステージを備えた馬蹄形の「展示棟」の三棟から成る。
創作棟、宿泊棟は一層の建物で、谷をまたぐように配置され、それぞれ 16.8(m)x 113.4(m)と 12.6(m)x 70.2(m)で細長い形状となっている。谷間をまたぐスパンは創作棟で 21.6(m)、宿泊棟で 18.9(m)である。傾斜地に建っているため建物には常時偏土圧が作用するが、建物全体を擁壁と考えて、基礎に場所打ち鋼管コンクリート杭を用いることで転倒と滑動に抵抗している。杭頭のつなぎ梁は強度と剛性が必要なため、鉄骨鉄筋コンクリート造にしている。
土圧を受ける山側の壁を地震力に対する主要な抵抗要素とし、谷側はプレキャストコンクリートの列柱で構成して開放的にした。緑化される屋根はスパン約 11(m)のボイドスラブとし、山側の壁と谷側に並ぶ列柱で支持されている。