1979年にたてられた中学校の耐震改修である。
新耐震設計基準以前に建設された、両方向耐力壁付ラーメンの鉄筋コンクリート造2階建てである。
既存の中廊下部分の2階・屋根スラブ、雑壁等を撤去し、開放的なアトリウム空間をつくることと同時に、補強を新たに加えない「減らす」耐震改修方法を試みた。
ここでは下記の2点を主な耐震性向上の手段とし、耐震性能を測るIs指標値を各方向とも約20%程度増加させている。
①耐震強度を維持したまま躯体重量のみを削減することで、建物重量に対する強度比の増大を図る。
②腰壁、垂壁及び袖壁の撤去によりせん断破壊が先行する柱を曲げが先行するように改善し、靱性の向上を図る。
全長56mのアトリウムの屋根は、鉄骨トラスによる軽快な鉄骨架構を設け豊かな空間の生成を図った。トラスは屋根の傾斜及び地震力の伝達などを考慮し、鋼管を三角錐形に組んだものを並べている。